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面接で、”かなり踏み込んだ質問をすと答る“える採用担当者が増えている。 理由は、マーケットの多様化と、ニッチ(隙間)ビジネスの浸透。多くの産業分野でマニア向けのマーケットが急成長していることから、多くの企業がこうした潮流に対処できる社員を募集。生半可な専門知識ではなく、その分野についてほとんど”オタク“と言っていいほどのコアな知識を持つ社員を欲しがっている。 実際に、ゲームソフト開発会社の事業部部長に話を聞いてみると、「どのマーケットもこれだけ成熟してくると、もう主流の商品を提供しているだけでは飽きられてしまう。消費者側は、そうした主流の商品、いわゆるスタンダードをすべてそろえた上で、さらにその次に来るサプライズ商品を求めているんです。これは、どの業界にも共通していること。今、多くの企業が取り組んでいるのは、そうしたサプライズ商品の開発であり、また、さらに進化するマニアックなマーケットへの対応なんです」。 中途採用のたびに、ゲームについてはかなり詳しいという応募者が殺到するが、確かにメインストリームの商品についてはそれなりの知識、意見を持っているものの、そこから一歩踏み出したサブストリームの商品については、それほど詳しくないとのこと。 ゲームデザイナーについても同様。既存のビッグネームとその作品については説明できるが、そうしたデザイナーやソフト会社が密かに仕掛けている枝葉の動きについては、限られた知識しか持っていない。これでは、今の企業ニーズからすると不十分。“平均的”評価しか得られない。 「我々から見て、“あ、コイツ、知ってるな”と思われるだけの知識と感性を持っている人が欲しいんです。主流商品、メジャーマーケットについては、既存のスタッフで十分に対応できます。また、今はリサーチ会社をはじめとして、不足部分は外部の専門会社に業務委託することで十分にフォローできますから、こうした分野についての補強は最小限でいいんです。反対に、たとえば子供の頃からパソコンを自在に使いこなして、自分で簡単なゲームも作れば、ネットで世界中のゲーマーと情報交換しながら常に“面白いもの”“新鮮なもの”、あるいは“レアなもの”の登場を待っている人たちに対応できるスタッフは、極端に少ない。ここをどう補うかが、私たちの業界の、重要なテーマになっているんです」 |
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●エキスパート社員が求められる●これだけの「理由」! |
中途採用市場では、エキスパート型社員がどこでも人気。次々と高倍率の採用をモノにしている。その理由は何か?企業人事に採用の「理由」を聞いてみた。
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たとえば、そうした商品開発とともに、現在は宣伝や普及の仕方にも一工必要な時代。多くのゲームファンが読む雑誌などに純広告や記事広告を展開する一方で、webによる情報提供・販売戦略が必要不可欠になっている。 こうした分野に精通していて、他社の動きや展開方法、それに対する効果的な対応をすぐに提案できる社員は、この会社に限らず“喉から手が出る”ほど求められている。
いわゆる、エキスパート。 多様化し、マニア化するマーケットに対応できて、しかも、有効な戦略をすぐに打つことができる社員が求められているのだ。 「概要を説明できるとか、理解しているというだけでは、ダメなんです。その程度のことは2~3年も働けば誰でもできるようになりますし、ちょっと勘のいい人なら1年もあればそれなりのことは言えるようになる。しかし、一部の人たちが熱狂的に盛り上がっているマーケットや商品、情報などについて、常にリアルタイムに反応できる人はごく一部。そのごく一部が、今最も必要視されているんです」 なぜ、“ごく一部の人たち”の少数マーケットに精通することがそれほど重要なのか? 多くの消費を見込めない分、あまり意味のあることではないように思えるが、この点についてこのゲームソフト開発会社の専務は、「ある人気商品を50万個ほど市場に投入して、3カ月で30万個売れるのが通常のマーケット。しかし、最近のいわゆるマニア化された商品のマーケットでは、1万個投入すればそれがひと月で完売。プレミアがつくなどして、続編や関連グッズなどが驚くほどの売上を記録するんです。しかも、そうした商品は何かをきっかけにある日突然、メインストリームに躍り出ることもあるわけで、企業にとっては利益率、将来性ともに抜群のマーケット。まだ成熟してもいなければ、手垢のついていないマーケットだけに、限りなく魅力的なんです」 この専務だけではない。飲料水メーカーの営業セクション・マーケティングリーダーも、そうしたマニア化するマーケットとエキスパート社員の必要性を次のように説明する。 「飲料水では、特にそうした傾向が強く表われていると思います。たとえば、お茶。お茶だけでも各メーカーから何種類も発売されていて、1年を通しても何回か新商品が発売されています。購入される方にとっては、どこがどう違うのか、いちいち正確には把握していられないと思うのですが、それなのに新たな製法や茶葉、成分を加味したものは確実に売れるんです。ポピュラーな例では、今話題のカテキンなどが挙げられますが、中にはそのカテキンの含有量について、商品ごとに抑えている人などもいてこちらの方が驚くくらい。それほど、今の消費者は製造者に勝るとも劣らない圧倒的な情報を持っているんです」 そうした厳しい消費者に選ばれる製品を作るには、より詳しい知識が必要。これは、製造ラインにタッチしている社員に限った話ではなく、むしろ「お客様窓口」となっている販促&事務系社員にこそ求められていると指摘する。 「お客様のほうからお問い合わせが合った場合、その商品について曖昧な回答をすることは絶対に許されないわけです。お客様のほうでは、相当な知識を持った上で、どうしても理解できないことや、説明して欲しいことを絞って問い合わせしてきます。納得していただけるだけの圧倒的な知識を持って対応しなければ、“なんだ、この会社は・・・”と、すぐに見切られてしまうのです。一度、見切られてしまうと、そうしたお客様にまた利用していただくには、2倍、3倍の努力が必要。途方もないロスを招いてしまうことになりますから、何がなんでもこの窓口で問題を処理しておく必要があるんです。当然、スタッフにもそれなりの能力が求められるんです」 だからこそのエキスパート社員。消費社会が成熟すればするほど、こうした社会に対応するだけのエキスパートが求められるようになってくる。 |
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マーケットの多様化は、業務の細分化を見てもわかる。特に、IT関連については、かつてせいぜい情報処理技術、プログラマー、CADオペレーターなどといった程度の区分けしかなかったものが、今ではざっと12種類の区分けが可能。それぞれスペシャリスト性の高いものとして知れ渡っている。具体的には、次の通り。プロジェクトマネージャー、ネットワーク設計、ITコンサルタント、プロジェクトリーダー、ネットワーク構築・運用、ソフトウェア開発、ソリューション営業、システムエンジニア、ネットワーク監視、データベースエンジニア、サポートエンジニア、プログラマー。さらに、これにセキュリティーサポートなどが加わって、その専門性はますます高まりつつある。こうした業界を目指すのなら、まず、専門領域の絞り込みを徹底すること。その上で、基礎から応用、旬の知識やノウハウなどをできるだけ短期間で習得するよう努力することだ。また、業界全体の技術水準、レベルも常にチェック。“平均”では、もちろん物足りない。一歩抜け出してこそ、採用が近くなる! |
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では、どうすればそうしたエキスパート社員になれるのか
面接の際に、“よく知っている”と思われるには、どうすればいいのかを聞いてみると、次のような答えが返ってきた。 「とにかく、専門だと思っている仕事について、あらためてチェックしてみること。これだけの多くの情報が乱れ飛び、なおかつ業界を問わずに目覚しい速度で技術革新とシステム化が進んでいる現在では、自分ではスペシャリストと思っていても、いつの間にかすっかり取り残されていたり、旬の知識や技術とかけ離れてしまっているというケースが驚くほど多いんです」とは、外資系生保の人材開発シニア・マネージャー。 しかも、こうした思い違いは、実績があればあるほど起こりやすいと、その危険性を指摘する。 「実績のある人は、とかくその成功に頼りがち。成功体験を自信にして、再度努力と勉強を重ねて最前線に出るというのならいいのですが、そうではなくて、かつての手法をそのまま今に当てはめようとするために多くが失敗。通用すると信じてしまっているだけに厄介なんです。状況の変化に気付かないために、逆に若くして“昔の人”になりやすいんです」 その意味でも詳細なチェックが必要。1年に一度はスキルチェックを行う必要がある。場合によっては、キャリアの棚卸し。旬の知識、ノウハウと比較して、今の自分はどこに位置しているのか正確に把握しなおす必要がある。後は、必要知識の補強。絶えず先端の情報、知識、技術を取り込みながら、エキスパートとしての鮮度を保つことだ。採用されるのは、進化し続けるエキスパート。マニア向けマーケットに積極的に参加し、戦略を仕掛けることのできる人たちだ。さぁ、チェック!スキル&キャリアを磨きなおそう。 |